桜や銀杏の木々が立ち並ぶ
グラウンドに向かう途中。

1人で水やりをする
女の子を見つけた。




誰もが嫌がるその作業を
黙々とこなす女の子を
凝視してしまい、動くのを忘れる。



「・・・・あの、何ですか?」

「!!」



あ、ヤバイ。
見すぎてしまった。

女の子は明らかに警戒体制。



「・・・あ、ごめん。ほら、
水やりとかって皆嫌がるじゃん?
進んでやってるから珍しいなって」



あまりにもぎこちない言い訳。
しかし女の子の警戒体制は解けた。



「あぁ、そういうことですか」



女の子は笑った。

眼鏡だし、メイクもしてないし
スカート長い・・地味な女の子。




だけど。

その笑顔は今まで見た
どんな笑顔より綺麗だった。



「私、なにもとりえなくて。
唯一出来ることといったら
水やりぐらいなんです。」



えへへ、と笑う女の子。
その笑顔に釘付けになる俺。


今、ドキドキしてる・・・。

初めての感覚。
これだ、これが欲しかった。


一瞬で世界が輝きだすもの。