*記憶のカケラ*


いるんな取り留めない話をしてゆっくりいつもの道を帰っていく。

家の前につくと庭からいい匂いとわいわい話す声が聞こえる。

「今日は俺の家か?」

「そうっぽいねぇ。」

そう話ながら外から庭へと続く細い通路を通る。
どちらの家かといってもお互いの家の庭は道路に面していない日が当たる方角にあって、お互いの家のフェンスに作られた扉越しに隣り合っているのでどちらも同じだったりする…。

「あ!2人帰ってきた!もう遅いでしょっ!お腹すいたのに待ってたんだからね!!」

と杏奈。

「杏ちゃんごめんねー。でも寄り道はしなかったよ?」

申し訳なさそうに…でも笑いながら亜梨紗が謝る。

「じゃあ亜梨紗、遼になんかされた!?」

なんてとんでもないことを言うのは俺の母、美代(みよ)。
母さんの言葉で飲んでたビールをぶっと吹き出して、

「亜梨紗なんかされてたら正直に言っていいぞ!」

とまたまたとんでもないこというのは俺の父、武(たけし)。
「まだ亜梨紗は遼とはいえどやらんぞっ!!」

とおじさん。
俺達2人は耐え兼ねて

『なんもないってばっ!!』

と叫ぶ。
無論、2人して顔が真っ赤なのは言うまでもない。