その日私は珍しく旭の家に来ていた。


「こんにちは」


「こんにちは、結羅ちゃん。上がって」


言われるがままにお邪魔した。


「あの、いきなりなんですが、旭のこと教えてください」


悠一さんの眉毛がピクリと動く。


「…わかった。座ってよ」


悠一さんが紅茶を淹れてくれたので、私はそれをすする。


「どこから話そうか?」


「2人が一緒に住んでいるのは何でですか?」


「それは、旭の両親が1年前に他界してね。
あいつもあいつで、結構きつい思いしてたんだ。んで、仲の良かったいとこの俺が、引き取ることになったんだ」


なるほど。
でも旭、一言話してくれてもよかったのに…


「じゃぁ、旭の過去については…?」


「中学ん時の人質事件は知ってる?」


「はい。少し」