朱里は俯いてしまった。

どうして?
私に話せないようなことなの?


「話して」


「…わかった。あのね、私も須和田君と同じ中学校だったんだけど…」


朱里の口から語られる内容は、衝撃的だった。

頭を鈍器で殴られたような、そんな感じだった。



旭は中学の時から少し乱暴だったらしくて、いろんな事件を起こしていたらしい。

そしてある日、先生に追い詰められた旭は、当時好きだった女の子を人質にとったらしい。



ナイフを持って。



旭は、悠一さんのおかげでなんとか正気を取り戻したらしいが、


「…その女の子、それから一度も学校に来なかったのよ。それで…その…」


朱里が言葉を濁す。


「てめぇふざけるなよっ!!」


「お前こそ…!」


早く…早く言って…!!


「結羅も同じようなことにしてしまったら、どうするんだ、って言ったの」


「もうやめてっ!!」


教室に私の声がこだまする。

よかった…まだ殴る前で。