「えぇ~!?待ってよぉ
少しくらいあたしに付き合ってよ、
実は友達とはぐれてぇ~」


後ろから着いてきながら、しつこく喋ってる。


いい加減頭にきた俺は、振り返り…いや、振り返ろうとしたが、蒼に押さえられ出来なかった。


「空、……あの人、元カノ…だね?
私…今、振り返って顔見たら、
ひっぱたいちゃうかもだから…
無視してもらっていい?」


ゆっくり歩きながら腰に腕を絡めて小さな声で俺に話す蒼。


そっと横を見ると、その顔は怒りに満ちていた。


俺が嫌な思いしてるのがわかっていて、同じように嫌な気分になり、さらに、それで俺が騒いだら後から後悔するのを分かって止めてくれてるんだ…


「ん…サンキュ…行こう…」


俺の腰に腕を回す蒼を肩から抱き寄せながら、ほとんど抱き合うように歩いた。


もう…諦めただろうと思ったのに…


☆☆☆


校舎から出て中庭のベンチに行き、そこのちょっとした広場で部活の発表を披露してるのを見てた。


ダンスやマジック、チアなど…


発表の谷間になり、「もうすぐスーツ組だな、見に行くか?」なんて頭を引き寄せたり、指をいじったり、頬を撫でたり…好き勝手して楽しんでた。


「フフッ…そこ、は…ダメだよっ…
くすぐったい、よ…んっ…」


ベンチでイチャつくバカップル…だな…ハハッ