☆☆☆


「卵巣…ひとつ無くて…
ガンの再発の可能性がある私……なの
今まで黙っていて…秘密で病院にも行って
ごめんなさい」


『癌』


今までニュースやなんかで聞いていても、現実としては全く向き合ったことはなく、自分の家族にも知る限りいない気がする。


たった9歳で向き合った蒼と、その家族…


ただ楽しいことを求めて過ごしていた自分と余りに違うことに、何ともいいようのない羞恥に襲われた。


「病気持ちの彼女は…
イヤ、かな?」


「イヤなんて……そんなふうに
思ったりしない、俺を信じてるだろ?」


「うん、信じてる。
そして大好き…
でも、何だか暗い顔してる…」


「あ…そう、かな?
蒼をイヤとかそんなんじゃなくて…
ん…自分が快楽的過ぎて
自己嫌悪、みたいな、もんかな」


「空が…快楽的っていうならそれが、
私を助けたんだよ?
私の心を救ってくれてる…
だから、自己嫌悪なんて感じないで
私の大好きな、いつもの
楽しいこと大好きな空でいて?」


「俺が、蒼を助けてる?」


「うん、空の存在が私を
強くしてくれて、支えてくれて
希望を感じさせてくれてる。」


その蒼の言葉は、嘘も偽りもない本心からだと、強い瞳を見ればわかった。


嬉しかった…