周りの目を気にせずに「やっぱり簡単にお肉と野菜を…」なんて呟きながらカートを押す俺の腕にさりげなく手を添えて歩く。


この何気無い、自然な寄り添い具合が嬉しい。


まぁ、部屋でまったりベッタリしてるのも好きだけど、蒼の、この程よく力の抜けた自然な感じが、『無理しなくても、二人で大丈夫』って伝えてくれてる気がするんだ。


「……ねぇ?どっちがいい?」


どうやら、何か聞かれていたらしい。


「あ、悪りぃ…聞いてなかった…」


「えぇ~、蒼様より気になる
人でも、いたのぉ?
どうせデレデレ見てたんでしよぉ~」


なんて言って痛みのないくらいの力でつねってくる。


「そうそう、あっちにさぁ、
めちゃ美味そうなコロッケが…」


「なにぃ??私はコロッケ以下ぁ~?」


「いや、蒼さんが好きそうだなぁって、
ほら、俺っていつでも蒼だけだし。」


ニヤリとしながら言ってやると…「なっ…!」赤らめた顔で睨んでくる。


「っ…それっ、どこ?」


照れながらプリプリしながら、それでも俺から手を離さない蒼と、惣菜コーナーでコロッケを2つ選んだ。


他の野菜なども買い込み、八時過ぎに家に着いた。


俺は先に風呂に行かせてもらい、蒼は簡単に炒めものと即席のスープを用意してくれた。