二人の、これから何があっても別れない気持ちを互いに感じとってからは、穏やかに日々が過ぎていく。


警察での確認の事情聴取もそれほど手間はかからず、あれから二回出向いて話を確認、周りの目撃者や救急隊員らとのすりあわせがあり、俺も現場にいたから、聞かれたりして、無事に裁判までいったようだ。


半年後位には判決ってのが出るらしいけど、やったのは未成年らしくて、実刑になるかはわからないよう。


ただ、根が腐ってたわけではないようで、知り合いだったあの少年にも、蒼にも、謝罪を何回もしてきて、弁護士さんも信じてあげて欲しいと言ってきた。


蒼は当然、「信じます」と笑顔だが、俺や蒼の家族はその場しのぎの嘘かも…と疑った。


だが、前に進みたいと言う蒼の言葉でともかく今は静観することになった。


☆☆☆


クラスでは中谷さんが相変わらず蒼に『恋人』とはなんて聞いたりして賑やかにしてるが、他のクラスメイトとも、打ち解けてテスト勉強会をしてみたり、球技大会にまた燃えてみたりだった。


だけど、何もかも順調過ぎるのって怖い…


何となくいわれのない不安が、俺を時々包み込むように生暖かい風が吹いていた。