「あぁ~!神崎さんだよね?
そうだよね?
神木くんと一緒にいるもんね?」


教室に入るといきなり勢いよく話しかけてくる一人の女子。


俺は蒼が居なかったこともあり、亮一以外とはあまりこの半月は関わってこなかったから、正直、名前も分からない。


勢いに押されて「?う、うん…?おはよう…」と挨拶を何とかする蒼。


「うわぁ~!嬉しいぃ~!
生神崎さんっ!!」


なんだ、そりゃ……


蒼も苦笑してる。


「あのね、あたしね、学級委員の
中谷実可子って言うのっ!
よろしくね?」


蒼の両手を包むように握りながら上下にブンブン振ってる。


「あっ、指輪?ごめんねっ
握りすぎて痛かった?だいじょぶ?」


今度は握りしめすぎたらしい手を緩めて、左手を持ち上げながら「ごめんね」を繰り返してる。


「あ、大丈夫だよ、痛くないから。
中谷さんは優しいね、ありがとう」


「優しいなんて嬉しいなぁ
ねぇ、この指輪ってさ、神木くんとの?
よくみてもいい?」


そう言いながら既に蒼の手を自分の顔まで持ち上げて、向きを変えたりしてジロジロ見てる。


「ハハハッ、中谷さん、面白い、
リング、興味あるの?」


「え~っ、面白いは素直にありがと
出来ないなぁ~
指輪に興味あるってより、彼氏いる
人に興味あり…もっと言えば
神崎さんに、興味ありなの」