「あらあら、仲がいいのね」


看護師は気に止めず、点滴などのチェックをこなしながら窓を少しだけ開けてくれた。


「談話室が廊下の端にあるのよ、
体が慣れてきたら、付き添いが
いるときはそこまで歩いて
みるといいわよ~」


明るく言って、看護師は部屋を出ていった。


静まる病室。


俺は、バッグから蒼へのプレゼントを出す。


「蒼…2日遅れになったけど…
誕生日おめでとう…
これはプレゼント。」


布団から出ていた手に、小箱を乗せながら言うとパアッと明るい顔になりながら俺を見つめる。


「開けて…いぃ?」


「あぁ、もちろん。」


ウフフっと微笑みながらリボンをほどいて…箱を開ける…。


「っ…!そ、ら…」


瞳を閉じて箱を胸に抱き締めながら静かに涙を流す蒼。


そして……


「空…これ、はめてくれる?」


ゆっくりと目を開けながら俺を見上げる。


「あぁ、貸して…」


箱の中の小さい方のリングを手に取り、左手で、蒼の左手を持ち上げる。


そして、薬指にそっとリングをはめていく。


「俺も…つけて…」


左手を蒼の方に差し出して、待つ。


微かに震える手で、優しく俺の手を支えながら左手薬指に対のリングをつけていく。


そうして…


左手を並べて少し掲げてみた。