それから医師がきて診察をして、今日はこのままで大丈夫なら明日からは一般病棟で入院となった。


☆☆☆


その日は体力のない蒼は、薬などのせいもありしばらくすると、俺の方を見ながらもまぶたが落ちてきて、眠ってしまった。


俺は看護師に明日の病室などを聞いてようやく安心して、家へ帰った。


☆☆☆


翌日は陸也と待ち合わせ、午後の面会時間に病室へ行った。


蒼の母親は昼に来たそう。


医師は傷が深いので3週間は入院してほしいと話したらしい。


「新学期、始まっちまうな…」


「大学は?」


「あぁ…4月の5日だったかな、入学式」


「へぇ…それには間に合わないなぁ」


そんな事を話ながら病室に入る。


一般病棟の個室に蒼は寝ていた。


静かに上下する胸元や穏やかな寝顔を見ていると普通に、部屋で寝てるような錯覚さえおきる。


でも、白っぽい室内に、耳障りな機械の音と点滴。


あっという間に現実に引き戻された。


「蒼…?」


陸也が遠慮がちにベッドサイドで声をかけている。


「ん…ん~……」


少しだけ身動ぎしたが、起きなかった。


「まだ起きそうもねえな。
お前はどうする?」


陸也に聞かれて「時間があるから、ここで待つ」と答えた。