「そう思ったら、なんか、嘘くさいけど、
手が勝手に動いたってか…
夢中になってた、で、
出来たのがこれ…」
ここまで話したときにはすでに、額にはポロポロとたくさんの涙がこぼれ落ちてた。
「もっとすっげぇの、描けるように
なるかもしんない、いや…
なんないとダメなんだよな…
でも、今はそれが俺の精一杯…
いつの日かの約束として…
それ、受け取ってくれるか?
俺が作ったドレスを着て、
俺の横に居てくれる約束…」
蒼は額を胸に抱き締めながら首を縦に何度も振る。
声が出ないらしくて、とにかくウン、ウン、って頷いてる。
「よかったぁ…ありがとな、蒼」
そう言うとまた、ブワァっと涙を流してた。
「そ…っ…グズ…ありっ…フェ…」
涙でぐちゃぐちゃな顔しながら一生懸命言葉にしようとする…
しばらく、蒼の涙がおさまるまで待った。
真っ赤な目と鼻の蒼と店を出たのはそれから30分も経った後だった。
大事そうに嬉しそうに額を抱き締め歩く蒼。
すれ違う人達が真っ赤な泣き顔を見て、ギョッとして二度見してる、気がする…。
それでも全く俺は気にならなかった。
蒼の肩を抱きながらホテルに向かって歩いた。
☆☆☆
「ごめんな、今日は…
なんか、興奮ってか、嬉しいからか
いつもより無理させた、よな?」

