「じゃあ…あ~ん……」
少し身をのりだし互いの口にスプーンを入れる。
瞬間、口一杯にほろ苦いショコラと、温かいチョコレートが広がり幸せを感じる。
甘さは控えめでほんの少しお酒の香りが鼻から抜けた気がした。
「ん~~!!美味しぃ~~!!」
とろけそうな顔で頬に手を当て言う蒼。
俺はまた一口分を口元に持っていってやる。
もう、恥ずかしさは美味しさにかき消されたらしく、素直に口を開ける。
なんとも言えず可愛らしくて、フフっと笑ってしまった。
「え~なんで笑うのぉ?」
ゴクリとしてから、そんなことを聞く。
ほんとに、無自覚なのは困る…
んなこと聞いてきたら、その、チョコレートがついた唇ごと、食べてしまいたくなる。
「何でもない…美味いな?」
「うんっ!!空、今日は
ほんとありがと♪」
フォンダンショコラを食べ終わりコーヒーを飲んでいるとき、テーブルに額を出した。
「なあに、これ…」
「俺からのバレンタインプレゼント」
「うわぁ!!ありがとう!」
くるりと表を見せてやると…蒼の大きな瞳が更に見開かれ、あっという間にウルウルしてきた。
「俺、デザインたまに描いてるって
話したろ、でさ、進路を
定めてからまた、無性に描きたくて、
で、どんな服が人を幸せにすんのかなぁ
とか、考えてたら、俺、やっぱり
一番は蒼でさ…」

