☆空色の傘☆【完】



「じゃあ…あ~ん……」


少し身をのりだし互いの口にスプーンを入れる。


瞬間、口一杯にほろ苦いショコラと、温かいチョコレートが広がり幸せを感じる。


甘さは控えめでほんの少しお酒の香りが鼻から抜けた気がした。


「ん~~!!美味しぃ~~!!」


とろけそうな顔で頬に手を当て言う蒼。


俺はまた一口分を口元に持っていってやる。


もう、恥ずかしさは美味しさにかき消されたらしく、素直に口を開ける。


なんとも言えず可愛らしくて、フフっと笑ってしまった。


「え~なんで笑うのぉ?」


ゴクリとしてから、そんなことを聞く。


ほんとに、無自覚なのは困る…


んなこと聞いてきたら、その、チョコレートがついた唇ごと、食べてしまいたくなる。


「何でもない…美味いな?」


「うんっ!!空、今日は
ほんとありがと♪」


フォンダンショコラを食べ終わりコーヒーを飲んでいるとき、テーブルに額を出した。


「なあに、これ…」


「俺からのバレンタインプレゼント」


「うわぁ!!ありがとう!」


くるりと表を見せてやると…蒼の大きな瞳が更に見開かれ、あっという間にウルウルしてきた。


「俺、デザインたまに描いてるって
話したろ、でさ、進路を
定めてからまた、無性に描きたくて、
で、どんな服が人を幸せにすんのかなぁ
とか、考えてたら、俺、やっぱり
一番は蒼でさ…」