高校に入り、その先を考えた時、柊の寂しげな視線がどうしても浮かんできて、上手く処理できない俺は進路指導室に向かう。


「なら…心療内科系のカウンセラーや、
直接的なら栄養学やアレルギーに
ついて学んで、病院や食品会社に
勤めるとか…
そこまででなくてもっていうなら、
そうだなぁ…院内学級の教師に
なるために保育や、小学校の
教員免許とるとか、か?」


いろいろと言ってくれたなかで、俺の思うものと重なったのは、病院食等を研究したり、扱う仕事で、有るなら資格を取ることだった。


柊に、柊達に…制限があっても笑顔になれる食べ物を作ってやりたい…


進学先は『食品生命や食品ビジネス』のある学科に決めた。


そしてそこから、学力と相談で大学をきめ、家では母親に菓子などの作り方を教わるようになった。


調理は思いの外楽しく、面白かった。


いつの間にか、その手の事が苦手な蒼にもねだられるようになってた。


柊には、看護師にちゃんと聞いてから大丈夫な材料だけでクッキーを作った。


初めて会ってから2年経って今は通院してる柊は、照れ臭そうに「しょうがないから食べてやる」って口に一杯入れてた。


そして、一言…


「うまい…」


俺の夢がくっきりと形になった瞬間だった。