偽り姫

「うん、櫻だよ…紘。

久しぶりだね。」


遠くからあたしの名前を小さな声で呼んだのは

朝井 紘 (Asai hiro)だった。


---------タッ


紘はあたしが名前を呼んだ瞬間あたしに向かって走りだした。
そして----------


-------------ぎゅっ


「…っわぁっ!」


思いっきり、抱きしめられた。
160㌢と小柄なのに、どこにこんな力があるんだ、と思うほどに強く抱きしめられた。


走ってダイブされたため少しよろめいた。
それを何とか堪えて紘に話しかけた。


「…紘?

どうしたん…?」


「…」


そう言うが紘は黙ったまま、ただあたしをぎゅうっと抱きしめていた。