「おはようございます。」


冷静さを取り戻しつつあった私はいきなり入ってきた彼と目をあわせ一言、あいさつをした。


すると彼はにっこりっと…貼り付けたような笑みを浮かべ-------


「おはよう。
確か-----綾瀬さんだよね？」


どうやら一言では終わらせてくれないらしい。
しかもあの貼り付けた笑顔…もっとわかりにくく作らないと。

私みたいな人には全部見える、彼の“裏”の顔が。


でもそれに気づかないフリをして言葉を返す。

さあ私のこの演技に、気づくかしら…？


「ええそうですわ、確か貴方は…

桐ヶ谷君、ですよね？」



ふふっと笑って彼の名前を呼んだ。