「尾行しついでにあ がってけよ」 「あたし早く帰りた いんだけど」 牡丹は湿気で膨らん だ髪の束を払う。 十字路で、畑山達 は別れた。 水びたしの道を歩い ていく。まばらに車 の停まった月極駐車 場を右に曲がり、ち ょっと行くと住宅地 で、その内の一軒に 彼は消えた。 二階建ての清潔そう な家だ。 レンガを用いた門柱 に、銀色のポストが ついている。 雑誌が入った紙袋を そこへ突っこんで、 牡丹はチャイムを鳴 らした。