ひきだしから、男子!


 「人違いです」

 畑山は早口でしゃべ

 った。

 「え……、

 あの畑山君?」

 「人違いです」

 牡丹は

 言葉につまった。

 どうやってこの場を

 切り抜ければいいの

 かわからず、頭が混

 乱する。

「あたしも実はそうい

 うの好きなんだ。友

 達になりましょ」

 「そう、あたしも実

 はそういうの好き

 ……て、ちがう!」

 にたにたして立って

 いるBの腹に、ボデ

 ィーブロー。しかし

 彼の腹筋に負けて手

 首が変な方向に曲が

 る。

 「いてっ」

 「とにかく人違いな

 んです」

 畑山はサングラスと

 帽子とマスクを急い

 でつかみあげ、脱兎

 のごとく

 駆けだした。

 「ちょっと

   エロ本は!?」

 とっさに叫んでしま

 って牡丹は

 赤面する。

 「人違いです!」

 悲鳴のように叫んだ

 彼の姿は瞬く間に闇

 に沈んだ。