彼はアスファルトの 窪みに落ちている手 袋を、忌々しそうに 蹴った。 牡丹は横目で彼を見 上げた。 畑山の髪がふわふわ と風に揺れる。民家 の瓦屋根からしたた り落ちてくる陽光に 透けて、トウモロコ シの髭みたいに見え る。 「つうかBなんだ? Bってなによ」 「分身のB。じゃあ さ、なんで」 牡丹は、低い位置で 二つに結んだ髪を触 った。ごわごわして いる。 「は?」 彼は頬をかいて半眼 になる。