畑山は慎重に呼吸を
整えてから、まっす
ぐ手をあげた。
それを合図に、助走
を開始する。
毛先をなびかせ、
柔らかく移動して、
ちょうどよいところ
で踏みきる。躍動感
ある姿勢のまま数秒
間宙に留まり、
スローモーションで
落ちていく。光のよ
うに汗が散る。
「かっこいいね」
眩しそうに目を細め
て、透が小さく息を
吐いた。うなずく牡
丹を見て、透は一瞬
泣きそうな顔に
なる。牡丹がツッコ
ム隙を与えずに無理
矢理口端をあげるよ
うにして笑い、みか
こと肩を組んで、悪
徳商人みたいに
にやける。



