彼女はにこっと笑っ て左右に首をふっ た。カッターとハサ ミを片付けて窓をあ ける。 「畑山君 こっち来て」 不安そうにやって来 た彼の背を、勢いよ く押す。 「っぶねーな! 何 すんだよ」 ヒトデみたいな格好 でサッシュに手足を 引っかけて部屋に留 まった彼は、顔を真 っ赤にして、怒鳴っ た。 「出て行ってもらお うと思って。落ちて も大丈夫でしょ。ど うせ幻なんだし」