「好きなんだって ね、畑山君のこと」 あまりにも周囲が無 反応だったから、 おとといのできごと など忘れかけていた 牡丹は、びっくりし て、一瞬口がきけな くなった。 山永はその沈黙を勘 違いしたのか、笑み をひっこめる。 「あたしも 好きなんだ」 「あたしは べつに……」 山永が乱暴に天板を 打った。彼女の迫力 に気圧されて、喉元 まで出かかっていた 言葉をのみこむ。 「あたし畑山君が好 きなの。 わかった?」 山永は目をつりあげ て不適に微笑み、華 麗な足どりで去って いった。