ひきだしから、男子!


  だから牡丹はハサ

 ミとカッターを所持

 した状態で、床に正

 座した畑山の幻らし

 きものの前に、腰を

 おろす。

 「それ、しまってく

 んないんだね」

 彼はカクンと項垂

 れ、上目づかいに彼

 女を見た。

 「双葉(ふたば)に頼

 みたい事があって来

 たんだ」

 自分の言葉を促すよ

 うに浅くうなずい

 て、彼は真面目な顔

 になる。