だから牡丹はハサ ミとカッターを所持 した状態で、床に正 座した畑山の幻らし きものの前に、腰を おろす。 「それ、しまってく んないんだね」 彼はカクンと項垂 れ、上目づかいに彼 女を見た。 「双葉(ふたば)に頼 みたい事があって来 たんだ」 自分の言葉を促すよ うに浅くうなずい て、彼は真面目な顔 になる。