私が立ち上がらなかった理由


口をパクパクさせながら
ようやくというように流と名乗ったその人がいう。


「すみません。」


仕事で失敗でもしたかのようにその人が私に頭を下げる。



「何で謝るんですか?」


私はにっこり微笑んだまま、
まっすぐ流と名乗ったその人をみつめる。



「えっと、あの、失礼しました。…道とか、大丈夫ですか?」