嗤う鏡

 



        嗤う鏡



 小林信治(こばやしのぶはる)は自他共に認める"オシャレ音痴"だった。

 私服はダサく、おっさん丸出し。スーツすら満足に着こなせず、髪はボサボサ。背が高ければそれなりに格好はつくが、あいにく信治は背が低かった。

 社内でも上司のストレスのはけにされ、部下からは無視される始末。
 もちろん、呑み会のときも信治は呼ばれなかった。

 両親は早くに死んでおり、兄弟も親戚もおらず、家庭も持っていない。

 信治の服装をチェックしてくれる人など一人もいないのだ。