「ねーぇ、肉まんとピザまん食べたーい!!買ってよー!食べたーい!」
「いつまで言ってんだよ…。もう家着いたぞ」
「だって、食べたいの〜!」
「もう、小学生じゃないんだからさ。いい加減あきらめろよ」
真月は大袈裟にため息をついてみせた。
「一回はちゃんとあきらめようとしたよ??でも、やっぱり食べたいんだもん!!」
「だまれ。ほら家入るぞ」
「やーだー」
「ほら」
電柱にしがみつくあたしを真月は浮かせて事務所に放り込んだ。
そう。これが真月の『力』だ。空気を操る力。
いったーい!!
「血出ちゃったじゃん!」
「自分で治せるだろ」
「…そうだけどさぁ、ちょっとは心配しなさいよ!」
あたしは口をとがらせながら血の出たところを手で抑えた。
そして、目を閉じて意識を血の出たところに集中させる。
目を開けた。
抑えてた手を離すと手には血がついていた。
でも、血が出てた傷は消えている。
これが、あたしの『力』
治癒の力だ。

