高校1年。3月。
「真月くーん!!第2ボタンちょうだい」
「無理です」
「ええ!?何で?」
「何でって…第2ボタンって普通は卒業生があげるものでしょう…俺、まだ1年ですから。卒業するのは先輩たちの方ですよね」
「いーの!」
「無理です」
あっちの方では、幼馴染みの真月が卒業生の先輩とそんなやり取りをしている。
そう。今日はあたしたちの高校の卒業式なのだ。
モテる幼馴染みをもつのは大変なことで、彼が先輩に第2ボタンをねだられている間ずっと校門で待っていなければならない。
早く帰っておやつを食べたくても、だ。
この間がとても辛い。
今、まさにその状態なのだ。
そうだ。
暇な今、自己紹介をしてしまおう。
えー、えー、
まず、あたしから。
初めまして。夢西鈴です。スズじゃなくてリンって読むんだよ〜。
もーさぁ、初対面の人みんな間違うんだから!!
気をつけてよね!
……ん??
あたしの好きな食べ物が知りたいって?
しょうがないなぁ!!
一番好きなのは、いちご大福かな。
あー、うまそうぼうも好きだし、ポテチ好き!!
ポテチはね、コンソメもいいけどのりしおが一番美味しいと思うの!!
もう、とにかく、
おやつが大好き!!!
冬のおやつといえば、肉まんだよね〜。
学校帰りに食べるのがまた格別なんだわ!!
んーでも、今日はピザまんの気分!!
「さっきから何?肉まんだとかピザまんだとか、ぶつぶつと…」
気付くと真月が隣にいた。