書類の山は
半分くらいはダイレクトメールや企業のチラシ。

軽く分けてから
斉藤君にやってもらう書類を渡す。

なんでこんなにパーティとか
発表会とかの招待状が多いのかしら。

無愛想な社長のナギサだけどーーー


「顔はいいからね。」

はぁ。とため息交じりにつぶやく。

「---社長ですか?」

「え?あぁ。うん。そう。
 あんなに無愛想で、よくわからない人なのに
 パーティとかの招待状が多いから…
 まぁ、顔はいいから…」

「あのっ・・・」


斉藤君は急に立ち上がって、
まっすぐに私を見つめた。

何?

私、何かまずいこと言った?


「あのっ。深雪さんはーーー
 社長のこと・・・す・・好きなんですか?」

「----はぁ??」

真っ赤になりながら
大きな黒目を少しうるうるさせながら
斉藤君はまっすぐに私を見つめてくる。


あーー
なんか、
申し訳ない気分になる。

「あの・・・ね。

 ナギサのことを好きよ。

 でも恋愛感情じゃないわ。」

にっこり笑いかけて
言葉を続ける。

「でも、会社で恋人を作る気はないの」

一瞬斉藤君が言葉を詰まらせるけど
まぁ、期待させるのも
面倒だから、笑顔できっぱりと告げた。