手際よく車を止めた斉藤君に、
私は秘書の必需品を渡す。
「はい。斉藤君。」
「ありがとうございます・・・って
なんですか?双眼鏡…?」
「必需品よ。
プレゼントするわ。
さっ。いくわよ。」
平日の朝に似合わないスーツの二人。
のんびりとした時間が流れる
園内に急いで入り込む。
結構人がいるのね。
平日なのに、
観光客やら親子連れやら…
「斉藤君。ここよっ。」
斉藤君の手を引いて、
高台の少し展望スペースになっているところに
足早に向かう。
あそこからなら
ナギサを見つけられるはず。
「深雪さん。ちょっと…待ってください~」
引きづられるように
斉藤君は私に手を引かれて
あわててついてくる。
「斉藤君!急いで!
言っとくけど10:30から会議よ!
それまでに、見つけなきゃ。」
今日の会議は各店舗の店長を集めた大きな会議。
まさか、
社長が遅刻するわけにもいかない。

