「ていうか彩穂、また勉強してたの?優秀だね」





親の手作り弁当の蓋を開けている麻紀がそう言うと、彩穂が麻紀の手首を思いっきり掴んだ。





「…違う……」





「な、何が違う?」





「補習から逃げるために、必死で勉強してんだよーっ!」





彩穂が麻紀の手首を振り回して、麻紀は苦笑いをした。

実は彩穂はバスケットボール部の活動に命を懸けていて、勉強の優先をしていなかった。

最初はある程度の学力があったものの、その学力はあっという間にボールに吸い込まれていった。

しかしバスケットボールの腕前は確かなもので、いつしかクラスの中での『バスケットボールキャラ』になっていた。

最近はあまり活動がなくて、彩穂は友達と一緒に帰ることが多かった。

いいんだ!私は勉強が得意じゃない!

でも私はバスケ!バスケは負けないから!一応それが取り柄だから!





「なるほどね…」