彩穂の涙が落ち着いて、風磨はさりげなく口を開く。 「大丈夫か?」 彩穂はコクリと小さく頷いて、黙って下を向いていた。 サラサラに整った髪の毛が、風磨の前で揺れる。 「寒くない?」 それでも彩穂は、小さく頷くだけだった。 風磨はため息をついてから、何かを思い出したように口を開いた。 「彩穂、ちょっと俺について来い」 風磨のその言葉通り、彩穂は風磨について行った。