「嘘だろ、何言ってんだよ」 風磨が、呆れたように笑うが、玲奈の表情は変わらない。 「私、風磨くんの理想になれなかったみたい」 玲奈がそう言って、風磨の背中に触れた。 「本当は、ずっと抱きつきたかった。この背中」 行き交う人のざわめきが一気に静まった気がして、風磨は玲奈以外の音が聞こえなくなる。 今何が起こっているのか。