応援席の麻紀は、席があるというのにずっと立ちっぱなしの美優と、微笑んで見守る雷の間で、複雑な想いに揺らされていた。 雷の携帯電話を借りて、無理矢理風磨に電話したこと。 決して良いこととは言えなかったかもしれないけれど、彩穂のために何かをしたかった。 彩穂が本当に欲しいのは、自分たちの応援なんかじゃない。 ずっと想い続けてきた、大好きなあの人の応援が欲しいんだと思う。