彩穂は、それだけ言って雷の前を走り去った。 その背中を、雷は切なく見つめていた。 叶わない想いは、きっとどこまでいっても叶わない。 そう感じていた雷に、まっすぐ風磨を思う彩穂からのメッセージを受け取った気がした。 叶う、叶わないを気にする人よりも、叶わなくても想い続けている人の方がよっぽど強いだろう。 彩穂の背中が見えなくなったところで、雷も今来た道をもどった。