そしてそのまま、その場を去ろうとした。 その背中を見た瞬間、彩穂にはどうにもできない感情が湧いた。 待って。 そういうことが言いたいんじゃない。 本当は、すごく好きだから――。 でもそれを伝えることが許されないから、こうすることしかできない。 「風磨!」 その一言に、風磨は立ち止まる。