「はよ」 雷が教室に入ると、風磨が目の前で挨拶をしてきた。 いつも一緒に登校していた風磨と雷が、今一緒に登校していないのは、風磨が玲奈と登校するようになったからだ。 その玲奈の存在が原因で、風磨と雷の関係は少し隔てられた。 お互い、話しかけることも少なくなった。 相手が嫌い、というわけではない。 ただお互いがお互いを気遣った結果、こういった関係になった。 そんな風磨が、今日は珍しく雷に話しかけようとして、唇を開いた。 「あのさ…彩穂の全国大会の事なんだけど…」