「俺が夜、こういう街中に出てきてウロウロしてたと思うと、宮岸には怖がられるかもしれない」 彩穂は、そう言いながら苦しい表情を見せた雷を、見逃さなかった。 きっと何か理由があるはずだ。 彩穂は黙って、雷の話に耳を傾ける。 冷たくなった雷の手は、少し震えているようにも見えた。 「でも、俺にはそうするしかなかった。そうする他に、何もできることがなかったから」