「邪魔だ!」 不意に、大きな音がした。 そのとき、雷の体がよろめいた気がした。 彩穂がビクッと反応すると、雷の彩穂を抱く力が強くなった。 彩穂の目には涙が浮かぶ。 「先輩…?もしかして今…殴られたんじゃ……」 彩穂が震える声で、雷の服の袖を握って言った。 しかし雷は何も答えず、ただ彩穂の頭を押さえていた。 パーカーから顔を出そうとしても、雷はそれを拒んだ。