「葉山って、好きな人いるの?」 その言葉を聞いた瞬間、麻紀は心臓の奥の方に、何か硬いものを押し付けられたような感覚がした。 すごく緊張してきた。 いろいろな意味で、この雰囲気には耐えられない。 「い…ないけど…」 麻紀が曖昧に返事をすると、悠心はさりげなく首筋を触った。 そして深呼吸すると、真っ直ぐに麻紀を見た。 その瞳は綺麗な黒色で、透き通っていた。