あの頃より きっと。

そう返信して携帯電話をしまおうとすると、不意に背後から名前を呼ばれた。





「葉山!」





麻紀は振り返ると、なんと悠心が走ってくるのが見えた。

制服に薄手のコートを着て、バックを肩から下げていた。





「坂岡くん?」





悠心は、不思議そうに見つめる麻紀に駆け寄った。

膝に手をついて、肩で息をする。





「葉山…、ちょっと話があるんだけど…これから時間ある?」





そう言って顔を上げた悠心は、思ったより麻紀との距離が近くて驚いた。

そして一歩後ろに下がると、麻紀に笑った。





「うん」