「麻紀ぃー、私、今日はお母さんに強制勉強させられるから、早く帰らなきゃなんだ…寄り道したかったけど、ごめんね」
美優はそう言って、角を曲がっていった。
麻紀はその背中を見送ると、家に帰ろうと歩き出した。
今日から秋が始まったと言ってもいいほど気温が下がって、放課後の街は非常に肌寒かった。
麻紀が、薄いダッフルコートのポケットに両手を入れ静かに歩いていると、携帯電話が振動した。
取り出してみると、彩穂からだということが分かった。
受信者のところには、美優の名前もあった。
彩穂は、麻紀と美優に一斉送信をしたのだ。
