「乗れ。早く!」 駐車場に停めてあった、真っ黒な車。 東条の車…なのかな。 車の中は、シトラスの匂いが広がっていた。 「比嘉さん。 何であんなところにいた?」 「…」 絶対訊かれると思ってた。 言いたくない…なんて、言えない…。 「家の…鍵、無くして…」 「馬鹿! あんなところに制服姿で、もし俺以外のやつに見つかったりでもしたら…」 解ってるよ。 そんなこと…。