いつもさりげなく心配してくれていた。
どれだけそれに救われたかわからない。

なのに。


「今なら誰でもいいからこの隙間を埋めてっていうかもしれない。でも、一番心を許せるのは、あなただから。」


頬に手を滑らせる。もう、彼はこっちを向くことはなかった。残酷すぎる。どれだけ傷つけたのだろう、そんなことすら考えることを放棄した。

案の定、彼は、頬をぶたれたように痛々しい表情をしていた。



「……お前、しっかり考えていってんの?」

こちらを向いた。泣きそうな顔。
痺れた爪先を休めようと地に踵を置いた。
見上げて、私は笑った表情を作った。




「うん。ごめんね」


「馬鹿だろ、ほんと」


「知ってる」


わかった、と項垂れるように返事をして、私の手を握った。

恋人みたい。って思った。