ねぇ、楼。
私はね、思う。
楼がどんな身分でも、どんな姿でも、きっとこうなっていたのよ。

彼の胸に額をくっつける。
厚い胸、もう触れる日なんてこないと思うと涙が溢れそうになる。



なんども、世界を生きていても。
そんな気がする。

でも幸せだった。


幸せだったから。

愛しい貴方の瞼にキスを落とす。



起きた彼に何度もありがとう。と言った。
もう迷わない。彼は未だ納得できてない。
泣き腫らした顔で何度も懇願された。
でも必ず横に振った。もう決めたことだから。

だから一言だけ。


「好きよ」


もう会えないけれど。