この年になるまで、思い続けた。
その時間は大層長い。


「ルル………行かないで。俺を置いて行かないで。」

辛い。情けないが涙が止まらない。
ルルの顔にぽたぽたと落ちていく。


久々に名前を呼んだ。

身分差なんて有りがちだ。知り合いでも嫌という程聞いたことがある。"やっていけないよな。努力しても生まれから違ったら同じ土俵にも上がらせてもらえないなんてな。世の中やってけねぇよな"


ほんと、やってけねぇ。


捕まれていた髪はいつの間にか離されていて、ルルの両手はいつの間にか輪郭を優しく撫でていて、_____泣いていた。

俺と同じように。一緒に。





「楼、ありがとう。」

そのまま体は倒して、ルルを抱き締めた。
ルルも俺を抱き締めて胸に顔を埋めて、声を圧し殺したようにずっとしゃくりあげていた。

このまま時が止まればいいのに。
ずっと考えていたのは夢のようなこと。




それでも彼女は女王だった。

















覚悟を決めた、揺るぎない強さが瞳に宿っていた。