そこから、急激に、仲は深まった。
一緒にいることが多くなった。
ピクニックや、公園で会うことが一番多いけれど、それ以外にも映画や、夕食を一緒にとることもした。

シミズさんは、まだ名前を教えてくれなかった。

世間から恋人に見えるだろう距離も私にとっては、きっとシミズさんにとっても違う、とはっきり思えた。




シミズさんは指にキスをするのが好きなようだ。安心するんだと、子供が指を吸うのと同じだと笑っていた。私の手は乾燥肌で、傷だらけなのに、変わり者の彼はそれがいいと言っていた。

この指先から、みんなに幸せを与えているんだから。と。



曖昧な距離を保つこと、これが温くても一番いいことだと、そう感じるようになったのは、お互いが何かに怯えるように体を交えた後だった。