足に口づける。
青い血管が浮き出た綺麗な甲に見惚れる。

「……………お願い、もう、その」

目を伏せて懇願する彼女は顔が林檎のように赤い。ちらりと見えた目尻には涙がたまっている。恥ずかしすぎて泣いちゃった?あーーー、かわいい。

重いかも知れないけれど、俺はたとえ切り離そうとしてもしつこくくっついて、他のものに彼女が奪われるなら心中したいくらい、彼女が好きだ。

真面目な彼女は恋愛ベタだ。
俺とすることがなにもかも初めてだという。
そんな彼女に何もかも囚われてしまった。

だから、

「まだだめ、俺の気持ちまだ受け取ってないでしょ」

なだらかなふくらはぎを下から膝小僧まで撫でる。

「あ、」

いいね、その声。

女王様の前で跪く、騎士のように。
もう一度彼女の足の甲にキスを落とす。
足に力をこめたのがわかる、指が折り畳まれている。


「……………嫌がっても、だめ。俺を支配したんだから俺はこうしなきゃ関係は成立しないでしょ」

ほんと、俺も人が悪いかな。
好きで支配されているし、彼女は物理的な押しが弱い。

「こんなの、やだぁ………」

泣きそうな声。ぞくぞく、する。うん、泣いちゃえ。


***

周りからは尻をしかれているように見られるけどきっと俺が彼女をコントロールしてる。
しっかり者の彼女が、俺の前でだけ姿を変える。俺に支配され、乱れる姿。


それを他人に知られないならば、俺は騎士のごとく彼女に忠誠を誓うあの足へのキスも喜んで引き受ける。

むしろ、好んでその行為をしてしまうだろう。

盲目。そんな言葉がちょうどいい。



end