「恨んで、私を」


「全部無かったことにしたいの」




弱りきった彼からは簡単に振りほどけた。
目の前の彼は、目の前の彼は。
ただ、地に視線を落としているだけだ。



「バイバイ」


さようなら。さようなら。



*******



「ねーーー看護婦さん」


「んーーー?」


「私って酷い女だと思う?」



「わかんない。でも、あなたが強くて、優しいからそんなことになったのかなって。しかも不器用すぎるけど」



「ハハハ。私ほんとは彼との赤ちゃん欲しいくらいに彼が好きだったんだよ、なのにさ………」


_______癌が転移しています。



「ホント、ついてないなぁ………」



貴方が今、他の人と幸せになっているのらそれが私の幸せだけれど、生きている内は泣かせてください。



End