鏡に写った自分を見て、眉を寄せる。
赤い花弁が散りばめられたような所有印の数は尋常ではない。

上は首から、足は指先まで。

ちょっと、おかしいんじゃない?
あんたはたくさん《浮気》して帰ってくるくせに、私は他の男の人と話しするだけでも怒られるなんて。

イライラしていた夜、あの日はいつもとなく荒れた。

思い出すのは熱に浮かされたあの時間のことごとで。
シャワーを浴びている時だけが心休まる…


髪の毛を洗って、1つのゴムにまとめる。
体を上から洗って太股にたどり着いた時、違和感を感じた。

私こんなところに絆創膏貼ったっけ?

つけ根よりも下、内側の裏。
触ってみてわかったあの独特の感触を、ぺりっと剥がす。




[美弥は俺の]

絆創膏の表面に油性ペンで書かれた、支配宣言。

………………のぼせた。




今、顔、熱い。


がらり、と浴室の白い扉が横に開く。
獲物を狙うような鋭くて、欲を帯びたその目に、体が疼く。


「かっわい、りんごみてぇ」

「死ね!!」



end