みんなは心配してくれた。
本当は男教師でも、対面しただけで指が震えるほどなのに。
もうひとつのトラウマは、ストーカー被害に会っていたお姉ちゃんを見てきたから?
何枚も送りつけられる写真と気持ち悪い妄想が連なった手紙。
姉はあっけらかんとしていたし、むしろ憤慨して「不能にしてやる」と恐ろしいことを呟いて至極楽しそうにしていたが。
私は違うかった。
気持ち悪くて何回も吐いた。関係ないよ、と姉は宥めてくれるが。
___ただ、怖い。それだけだったのだ。
だから、見下したかった。
だから何回も違う人と体も重ねて、カレシの自尊心をズタズタに裂いてやることをやめられなかったのだ。
もう遅い。純粋だった頃の自分なんて、忘れた。
***
酒を豪快に煽った彩花の言葉が離れない。
子供のようにボロボロと小さな涙をたくさん流して。
あんたはねー泣き虫で怖がりな癖に負けん気が強いのよ。
めんどくさいったらありゃしない。男の人、怖いくせに………だいじょうぶ。
あんたは自分で思っているほど汚くない。ていうより綺麗よ?処女じゃないだけじゃない。
いーいー?これに懲りたらもう無茶するのやめなさい。いっつも別れたあと罪悪感でいっぱいな顔して熱出してるんだから。
………あんたは自分を大切にしてよ。